生成AIなのにAI本が売れている⁉

2023年以降に発売された生成AIに関する書籍一覧をCANTERAにて俯瞰すると、「生成AIが社会にどう浸透していったか」がリアルに浮き彫りになります。

2023年:まさに「生成AI元年」の熱狂期

2022年11月突如現れたChatGPTの衝撃に、世界中が「乗り遅れるな!」とパニック混じりのお祭り騒ぎになりました。この年に発売された書籍は、とにかく「ChatGPT」「画像生成AI」という言葉のオンパレードです。技術の衝撃が強すぎたため、市場が一気に沸騰した様子が分かります。『ChatGPTは質問・指示が9割』/山崎志津(池田書店)、『堀江貴文のChatGPT大全』/堀江貴文、荒木賢二郎(幻冬舎)等、まずは「何ができるのか」「どう触ればいいのか」というプロンプトの基本や、ビジネスハック系の書籍が乱立しました。

同時に、『ChatGPTの衝撃 AIが教えるAIの使い方』/矢内東紀(実業之日本社)、『AI失業 生成AIは私たちの仕事をどう奪うのか?』/井上智洋(SBクリエイティブ)、『生成AIの法的リスクと対策』/福岡真之介、松下外(日経BP)といった、この技術は世界をどう変えてしまうのか、法律や雇用はどうなるのかといった、期待と不安が入り混じった本が目立ちます。

2024年〜2025年:いつの間にか仕事場に「溶け込む」AI

明けて2024年、そして2025年に入ると、発売タイトルはガラリと変わります。単一の「ChatGPTブーム」は落ち着き、『できるExcel 2024 Copilot対応 Office 2024&Microsoft 365版』/羽毛田睦土(インプレス)、『Windows 11 2025年最新版 Copilot対応』/北川達也(技術評論社)といった、日常ツールへの「組み込み」へとシフトしていきました。「AIをわざわざ使う」のではなく、「ExcelやWindowsに最初から入っているAIをボタン1つで使う」時代へと移行したのです。

さらに、AIの活用は「一般論」から「それぞれの専門現場」へと潜り込んでいきます。『医師による医師のためのChatGPT入門 臨床がはかどる魔法のプロンプト』/大塚篤司(医学書院)、『英語教師のためのChatGPT活用ガイド』/南部久貴(明治図書出版)等、お医者さん、学校の先生、税理士、看護師……あらゆる専門職の人たちが、「自分の仕事をどう効率化するか」という超実践的なフェーズでAIを道具として使いこなすフェーズへ移行していったことが分かります。

2026年:AIは「空気」のような存在へ

2026年現在、今やAIは、かつての「優秀な家庭教師」から「勝手に働いてくれる自律型の部下(エージェント)」へと進化を遂げています。『Copilotエージェントの教科書 AIによる業務自動化の大本命』/吉田大貴、吉田まみな(日経BP)のように、人間がプロンプトを必死に考える時代から、AIが自分で考えてタスクを完結させる未来を捉え始めました。

さらにこれまで、『今日からはじめるChatGPT英会話 新AI時代の超独学スピーキングブック』/山田優(アルク)、『ChatGPT最強投資プロンプト67 Gemini Copilot Claude…』/ファン・インファン、ホ・バンソク(東洋経済新報社)のように英会話スクールや投資顧問など、ある程度の「費用」や「ハードル」があったサービスや『AI自己分析 パーソナリティ心理学×ChatGPTで「自分の活かし方」を知る』/篠崎健伸、小塩真司(大和書房)のような心理学におけるまでAIによって一気に個人の手元へ開放され「AIが完全に日常のインフラとして溶け込んだ」年と言えます。

さらに面白いことに、AI本がビジネスパーソンだけのものではなく、『60歳からのChatGPT 暮らしが変わる100の便利術』/ChatGPT実践研究会(扶桑社)、『70歳からのスマホでChatGPT 毎日の生活が楽しくなる』/片山嗣規(WAVE出版)等、シニア層の「生活の知恵袋」としても本屋さんに並び始めました。かつて世界を震撼させた最先端AIは、今やおじいちゃん、おばあちゃんが日々の暮らしやスマホ操作をラクにするための、一番身近なデジタルパートナーになってきています。

AI時代に、私たちが本を読む理由

「生成AIの時代に、わざわざAIの本が売れている」というおかしな現象。しかし、これこそが人間らしさの証明です。
英会話の練習相手、投資のアシスタント、あるいは日々のちょっとした悩み相談まで、AIは何でもスマートにこなしてくれます。だからこそ、私たちは「この万能な相棒と、どうやって面白い未来を作ろうか?」とワクワクしながら、今日も紙の本をめくって知恵を蓄えているのかもしれません。

生成AI関連本「売上ランキング」

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