売れる本は「話題」から「目的」へ

購買データで読み解く、2017年から2026年の変化

2017年から2026年までの9年間で、売れる書籍はどのように変わったのでしょうか。
全国約3,500店舗の購買データをもとに、2017年、2022年、2026年のランキング上位3,000点を比較すると、ベストセラーの顔ぶれだけでなく、読者が本を購入する理由そのものが変化していることが分かります。
2017年は、小説、児童書、実用書など、広く話題になった一冊がジャンルを越えて読まれる「社会現象型のベストセラー」が目立ちました。2022年には、お金、健康、老後、コミュニケーションなど、生活上の不安や課題に答える本が存在感を高めます。そして2026年には、国内文庫や国内小説を楽しむ読書と、学参、資格、語学など、具体的な成果を求める読書が共存しています。

2017年は「話題の本を読む時代」、2022年は「生活の課題に答える本を選ぶ時代」、2026年は「読みたい本と役立つ本を目的で選ぶ時代」へ。

本記事では、各年のジャンル構成比とランキング上位作品を手がかりに、読者が書籍に求めるものがどのように変化したのかを読み解きます。

■今回の分析対象
今回の分析では、次の3期間における書籍ランキング上位3,000点を使用しています。
・2017年4月から12月までの9か月
・2022年1月から12月までの12か月
・2026年1月から10月までの10か月
各年で集計期間が異なるため、売上数や売上金額の合計値は単純比較していません。
本記事では、市場規模の大小ではなく、各期間のランキング上位3,000点における売上数のジャンル構成比と、上位作品の並び方を中心に比較します。もちろん、CANTERA上では、作品別・ジャンル別の売上数や売上金額の実数を確認できます。

2017年

■一冊のベストセラーが社会現象になる時代
2017年の書籍ランキングには、小説、児童書、学習書、実用書など、異なるジャンルから幅広い話題作が並びました。
ランキング上位には、『君の膵臓をたべたい』『豆の上で眠る』『漫画 君たちはどう生きるか』『ざんねんないきもの事典』『モデルが秘密にしたがる体幹リセットダイエット』などが入っています。
ジャンルは異なりますが、書店の売場だけにとどまらず、口コミやメディアを通じて広く認知された作品という共通点があります。

ランキング作成 CANTERA調べ

2017年は、国内文庫が20.3%と最も高く、ライトノベルス文庫が8.3%、時代文庫が5.4%と続きました。
文庫や小説を中心とした物語需要に加え、教養新書、児童書、学習書、実用書など、さまざまなジャンルから大型ヒットが生まれています。

■『君の膵臓をたべたい』が示すメディア横断型ヒット
2017年のランキング1位に入った『君の膵臓をたべたい』は、小説を起点に広く認知された作品です。
口コミや書店での展開に加え、映像化などを通じて作品との接点が広がり、一冊の小説が幅広い読者に届きました。
一方、『漫画 君たちはどう生きるか』は、過去の名著を漫画という入りやすい形式で提示し、新しい読者との接点を生み出しました。同作品は、2017年のランキング4位に入っています。
一冊の本が話題となり、その話題がさらに新しい読者を呼び込む。2017年は、こうした社会現象型のヒットが書籍市場を動かしていた時代です。

■ライトノベルス文庫が物語の選択肢を広げていた
2017年のライトノベルス文庫は、ランキング上位3,000点の売上数構成比で8.3%を占め、国内文庫に次ぐ規模となっていました。
ライトノベルス文庫は、キャラクターや世界観を前面に打ち出した作品が多く、コミック、アニメ、ゲームなどと親和性の高いジャンルです。
例えば、『ソードアート・オンライン ムーン・クレイドル 20』は、2017年のランキング36位に入っています。
読者が小説を選ぶ際の入口も、物語のテーマだけではありません。キャラクター、イラスト、設定、シリーズ性など、複数の要素が購入のきっかけになっています。
2017年は、国内文庫を中心とした幅広い読書と、明確なキャラクターや世界観を持つライトノベルス文庫が、それぞれの読者を獲得していた時期といえます。

■児童書と学習書にも「楽しさ」が求められた
2017年には、『ざんねんないきもの事典』や『うんこ漢字ドリル』も大きな存在感を示しました。
これらの作品に共通するのは、知識や学習をそのまま提示するのではなく、驚きや笑いと結びつけていることです。
『ざんねんないきもの事典』は、生き物の意外な特徴を「ざんねん」という切り口で紹介しました。『うんこ漢字ドリル』は、漢字学習に強い遊びの要素を加えています。
学ぶ内容だけではなく、どのような体験として届けるかが、児童書や学習書でも重要になり始めていたと考えられます。

■実用書は、分かりやすい変化を提示した
『モデルが秘密にしたがる 体幹リセットダイエット』のような実用書も、2017年の売れ筋を象徴しています。同作品は、2017年のランキング3位でした。
読者が抱える悩みに対して、具体的な方法や期待できる変化を分かりやすく提示する。タイトルを見ただけで「何に役立つ本なのか」が伝わる設計です。
2017年にはすでに、目的の明確な本も支持されていました。ただし、市場全体を見ると、社会的な話題やメディアでの注目が一冊へ集中し、そのベストセラーを多くの読者が手に取る動きが強く表れています。

■2017年の書籍市場をひと言で表すと
『広く話題になった一冊を、多くの読者が手に取る時代』
小説、児童書、実用書など、ジャンルを問わず、社会的な話題性を持った作品が書店全体を動かしていました。

2022年

■生活の不安や課題に答える本が支持された
2022年は、コロナ禍から日常を取り戻し始めた時期です。
ただし、生活者を取り巻く不安が、すぐに解消されたわけではありません。お金、健康、老後、働き方、人間関係など、日々の生活に関わる課題が強く意識されていました。
ランキング上位には、『三千円の使いかた』『希望の糸』『80歳の壁』『流浪の月』などが並びました。
さらに、『人は話し方が9割』や『ジェイソン流お金の増やし方』など、コミュニケーションや資産形成に関する本も支持されています。

ランキング作成 CANTERA調べ

国内文庫の構成比は19.5%で、2017年の20.3%と大きくは変わっていません。
一方、ライトノベルス文庫は2017年の8.3%から、2022年には3.2%へ変化しました。絵本は2.6%から4.2%へ上昇しています。
ジャンル構成だけを見ると、国内文庫を中心とした市場構造は継続しています。しかし、ランキング上位作品の内容を見ると、読者が書籍に求める役割が変わっていることが分かります。

■『三千円の使いかた』が示す、物語と生活課題の接近
2022年のランキング1位となった『三千円の使いかた』は、小説としての物語を楽しみながら、お金や人生設計について考えられる作品です。
単純なマネー実用書ではなく、登場人物の暮らしや選択を通じて、貯蓄、家族、老後などの問題を読者自身の生活と重ねられる内容になっています。
2022年の特徴は、物語と実用が完全に分かれていないことです。
読者は純粋に物語を楽しむ一方で、そこから自分の生活を見直すきっかけも得ています。
小説か実用書かというジャンル区分だけでは捉えきれない、生活者の課題に寄り添う本が支持された年といえるでしょう。

■お金、健康、老後への関心がベストセラーに表れた
『80歳の壁』や『ジェイソン流お金の増やし方』が支持された背景には、将来への不安があります。両作品は、2022年のランキングでそれぞれ3位と8位に入りました。
長く健康に暮らすにはどうすればよいのか。限られた収入のなかで資産をどのように形成するのか。老後に向けて何を準備すればよいのか。
こうした問いに対して、具体的な考え方や行動を提示する本が選ばれました。
読者が書籍を購入する理由も、「話題だから読む」だけではなく、「自分の悩みを解決するために読む」へと広がっています。

■コミュニケーションも解決したい課題になった
『人は話し方が9割』は、コミュニケーションという幅広い悩みに対して、分かりやすい答えを提示した本です。同作品は、2022年のランキング7位でした。
仕事、家庭、友人関係など、話し方に関する悩みは、さまざまな場面に共通します。
特定の職種や年代だけを対象とするのではなく、幅広い読者が自分事として捉えられる課題を扱ったことが、大きな支持につながったと考えられます。
2022年のベストセラーには、読者が抱えている問題を明確な言葉に置き換え、解決への入口を示す本が多く見られました。

■ライトノベルス文庫は8.3%から3.2%へ
ライトノベルス文庫の売上数構成比は、2017年の8.3%から、2022年には3.2%へ低下しました。
ランキング上位3,000点に入った点数も、275点から109点へ減少しています。1点当たりの売上数も増えていないため、ほかのジャンルの伸長によって相対的に構成比が下がっただけではありません。
一方、ライトノベルス文庫全体の売上に占める上位10点の割合は、14.7%から24.8%へ上昇しました。『リコリス・リコイル Ordinary days』『ようこそ実力至上主義の教室へ』『薬屋のひとりごと』などの有力作品が支持されています。
つまり、ライトノベルス文庫は、ランキングに登場する作品の裾野が狭くなる一方、限られた上位作品へ売上が集中する傾向が強まったといえます。

■絵本の存在感も高まった
絵本の売上数構成比は、2017年の2.6%から、2022年には4.2%へ上昇しました。
2022年のランキングでは、『パンどろぼう』が32位に入り、『パンどろぼう おにぎりぼうやのたびだち』『パンどろぼうとなぞのフランスパン』など、シリーズ作品も上位に並びました。ほかにも、『だるまさんが』『はらぺこあおむし』『きんぎょがにげた』など、長く読み継がれている定番作品が購入されています。
絵本は子どもが一人で読むだけでなく、大人と子どもが物語やキャラクターを一緒に楽しめる本です。コロナ禍を経て家庭で過ごす時間や、親子で共有できるコンテンツへの関心が高まったことも、絵本の売れ方に影響した可能性があります。

■2022年の書籍市場をひと言で表すと
『変化する生活に対応するため、本に答えを求める時代』
物語を楽しむ本に加え、お金、健康、老後、コミュニケーションなど、生活者が抱える課題に直接向き合う本が支持されました。

2026年

■「読みたい本」と「役立つ本」が共存する時代へ
2026年の書籍市場では、国内文庫と国内小説の存在感が高まる一方、高校学参や資格・語学書も主要ジャンルとして表れています。
ランキング上位には、『科学的に証明された すごい習慣大百科』『イン・ザ・メガチャーチ』『一次元の挿し木』『永遠の記憶』『汝、星のごとく』などが入りました。
自己改善や習慣に関する本が支持される一方、国内小説も上位に複数登場しています。

ランキング作成 CANTERA調べ

国内文庫の構成比は、2017年の20.3%、2022年の19.5%から、2026年には25.9%となりました。
国内小説も、2017年の3.2%、2022年の3.4%から、2026年には5.9%となっています。
一方、高校学参は4.3%、英検・TOEICは2.8%を占めています。
2026年は、物語を楽しむ読書と、受験、資格、語学などの成果を得るための読書が、同時に存在感を示している年です。

■国内文庫と国内小説を動かした、受賞・映像化・作家への再注目
2026年は、国内文庫が25.9%、国内小説が5.9%となり、ともに比較した3時点で最も高い構成比となりました。
文学賞、ドラマ・映画化、著名作家の新刊刊行など、作品を知る複数のきっかけが重なっています。
国内小説では、2026年本屋大賞を受賞した『イン・ザ・メガチャーチ』がランキング2位に入りました。
国内文庫では、「このミステリーがすごい!」大賞・文庫グランプリ受賞作で、2026年に連続ドラマ化された『一次元の挿し木』が3位に入りました。『汝、星のごとく』も、本屋大賞受賞後の文庫化に加え、2026年10月の映画公開によって再び注目を集めています。
さらに、2026年7月に逝去した東野圭吾さんの作品も、国内文庫・国内小説の双方で存在感を示しました。国内小説では、ガリレオシリーズ最新長編『永遠の記憶』が4位に入っています。国内文庫でも、『白鳥とコウモリ』上下巻、『魔女と過ごした七日間』『あなたが誰かを殺した』『殺人の門』上下巻など、複数の作品が上位に並びました。

■学参・資格・語学書がランキング上位へ
2026年には、高校学参が4.3%、英検・TOEICが2.8%となり、両ジャンルで上位3,000点の売上数構成比の7.1%を占めました。
これは、ほかのジャンルの低下によって構成比だけが上がったわけではありません。売上数は、高校学参と英検・TOEICを合わせて2022年から約16%増加しています。特に高校学参は約42%増加しました。
ランキングでも、『英単語ターゲット1900』が29位、『関正生の英文法ポラリス』が33位、『大岩のいちばんはじめの英文法』が43位に入り、複数の学習書が上位に並んでいます。
一方、英検・TOEICでは、定番の『TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ』が2022年の26位から2026年には9位へ上昇しました。2026年は、高校学参の実売増加が学習関連ジャンルを牽引し、資格・語学書では定番商品が総合ランキングの上位へ進出した年といえます。

■『すごい習慣大百科』が示す、行動につながる読書
2026年のランキング1位となった『科学的に証明された すごい習慣大百科』は、読んで知識を得るだけでなく、行動を変えることを目的とした本です。
習慣、時間管理、自己改善などを扱う本では、読者が実践できるかどうかが重要になります。
書籍に求められる価値は、「読んで理解した」だけではなく、「読んだ後に何が変わったか」へ広がっています。
2022年には、生活上の悩みに答える本が支持されました。2026年には、その答えを読者自身の行動や成果につなげる本が、さらに存在感を示しています。

■2026年の書籍市場をひと言で表すと
『「読みたい」と「変わりたい」が、本を選ぶ目的になる時代』
文学賞や映像化は、「この物語を読みたい」というきっかけを生み出します。学参や資格・語学書、習慣に関する本は、合格、スコアアップ、行動の変化といった明確な目標に応えます。
選ばれる本のジャンルは異なっても、ランキングから見えてくるのは、読者が「何を読みたいか」「読んだ後にどうなりたいか」を意識して、本を選ぶ傾向が鮮明になったことです。

2017年のように、広く話題になった一冊がランキングを動かす市場から、2026年には、物語、学習、資格、自己改善など、それぞれの購入目的を持つ本が同時に上位へ入る市場へ。本を目的で選ぶ行動は以前からありましたが、その目的の多様さが、2026年のランキングにはより明確に表れています。

書籍市場の9年間は「話題から目的へ」の変化だった

2017年は話題の本を読む時代、2022年は生活の課題に答える本を選ぶ時代、2026年は「何を読みたいか」「読んだ後にどうなりたいか」で本を選ぶ時代へ。
一冊の大きなベストセラーが市場を動かす構造は、現在も変わっていません。一方で、書籍市場の重心は、広く共有される「話題」から、読者一人ひとりの関心や目標に応える「目的」へと移りつつあります。

■書籍の売れ筋には、生活者の関心が表れる
書籍ランキングは、単に本の人気を示すものではありません。
読者がその時代に何を知りたいと思い、どのような不安や課題を抱え、何に時間とお金を使おうとしているのか。その一端が、実際の購買行動として表れています。

例えば、お金に関する本が売れていても、読者が抱えている課題は一つではありません。
・投資を始めたい
・家計を見直したい
・教育費について考えたい
・老後に備えたい
・働き方や収入を変えたい
健康に関する本でも、運動、食生活、睡眠、ダイエット、老後の健康など、求めている情報は異なります。

一冊の売上だけでなく、購入者の年代や性別、併買された本まで見ることで、同じテーマのなかにある生活者の課題を、より具体的に捉えられます。
書籍の売れ筋を見ることは、その時代に生活者が何を考え、何を知ろうとしているかを見ることです。
この視点は、出版市場の分析に限りません。広告や番組、商品、コンテンツの企画においても、次のテーマを見つける手がかりになります。

書籍データは「時代の兆し」を捉える材料になる

生活者の関心を把握する方法には、アンケート、検索データ、SNS、視聴データなどがあります。
書籍の購買データの特徴は、生活者が実際にお金を支払い、そのテーマについてさらに知ろうとした行動を捉えられることです。
購入者の性別や年齢、併買された本、発売後の販売推移を組み合わせることで、次のような違いが見えてきます。
・一時的な話題か、継続的な関心か
・どの年代・性別が関心を持っているか
・同じ読者が、ほかにどのテーマへ関心を持っているか
・話題化する前から販売が伸びていたか
・受賞や映像化の後に、新しい読者が流入したか
書籍ランキングを順位だけで見るのではなく、読者と販売の動きまで確認することで、次の企画につながる「時代の兆し」を捉えられます。

■広告・マーケティング企画に書籍データを生かす
広告やマーケティングの企画では、生活者が何に関心を持ち、どのような課題を抱えているかを把握する必要があります。
検索数やSNS上の話題量から、関心の広がりを確認することはできます。ただし、それだけでは、実際にお金を支払うほどの関心があるかまでは分かりません。
書籍の購買データからは、次のような情報を確認できます。
・実際の購買につながっているテーマ
・そのテーマを支持する性別・年代
・関心が継続している期間
・同じ読者が購入している関連テーマ
・話題化やメディア露出前後の販売変化
例えば、健康書の購入者が料理書や習慣に関する本も購入していれば、「健康について知りたい」だけでなく、「日常生活を改善したい」という関心が背景にある可能性があります。
ビジネス書の購入者が資格書や語学書を併買していれば、仕事上の悩みに加えて、キャリア形成や学び直しへの関心も見えてきます。
書籍のテーマ、読者属性、併買を組み合わせることで、広告キャンペーン、オウンドメディア、タイアップ、イベントなどの企画に必要な生活者像を具体化できます。

■番組・コンテンツ企画に書籍データを生かす
テレビ局、番組制作会社、動画配信事業者にとって、書籍は映画化・ドラマ化の原作候補だけではありません。
情報番組、教養番組、ドキュメンタリー、Web動画などの企画テーマを探す際にも、書籍の売れ筋は有効な手がかりになります。
例えば、次のような分析が可能です。
・お金や資産形成に関する本は、どの年代に支持されているか
・健康や習慣に関する関心は、一時的なものか
・教育や語学のなかで、どのテーマが伸びているか
・特定の著者や専門家は、どの読者層に届いているか
・小説やノンフィクションは、発売後も継続して売れているか
著者や専門家を番組に起用する場合も、売上順位だけでなく、読者の性別・年齢や併買作品を見ることで、どのような視聴者層と親和性があるかを検討できます。
話題量だけではなく、生活者が実際に関心を持ち、さらに深く知ろうとしているテーマを発見できることが、書籍データを活用する利点です。

■商品企画・アプリ開発・新規事業に書籍データを生かす
出版物の購買データには、生活者が何に悩み、何を知り、どのようになりたいと考えているかが表れます。
出産、育児、進学、就職、資格取得、住宅購入、資産形成、介護など、人生の節目では、その時々の課題に合った本が選ばれます。書籍のテーマに読者属性や併買データを組み合わせることで、購買者のライフステージやライフスタイルをより具体的に捉えられます。

例えば、不動産に関する本の購入者が、結婚、出産、教育費、住宅ローンの本も購入していれば、住宅への関心だけでなく、家族形成や将来設計という背景まで見えてきます。
資格書や就職関連書では、購入者の年代や併買書籍から、就職準備、転職、昇進、学び直しなど、キャリア上の目的を捉えられます。出産・育児書では、保険、住宅、教育、健康といった次の関心へ広がる可能性もあります。
出版物の購買データは、商品名や検索語だけでは捉えにくい、生活者の心や頭の中、人生の節目、重視している価値を映すデータです。
誰が、どの本を、何と一緒に購入したかを見ることで、商品やアプリのターゲット設定、機能設計、コンテンツ企画、新規事業のテーマ探索に活用できます。

書籍購買から生活者の関心をCANTERAで読み解く

CANTERAでは、全国約3,500店舗の書店POSデータをもとに、2017年4月以降の販売実績をISBN単位で確認できます。
実際に書店で購入された書籍が実績として反映されるため、アンケート上の関心だけではなく、購買行動として表れた関心を分析できます。
月次ランキングは全店規模で3,000位まで一度に抽出でき、作品別の販売実績に加えて、ジャンル構成、読者属性、併買、発売後の販売推移などを確認できます。

■CANTERAで確認できる主なデータ
・作品・シリーズ別の売上数と売上金額
・ジャンル別・出版社別・性年齢別の市場構成
・性別・1歳刻みの年齢別購買クラスター
・併買された作品の上位500点
・発売後の日別販売推移と在庫推移
・文庫化・映像化前後の販売状況
・月次ランキング上位3,000点
・Excel・CSV形式でのデータ出力
・別途、データ連携サービス

出版、電子コミック、テレビ局、映画配給会社、アニメ制作会社、広告代理店、グッズ制作会社、遊技機メーカーなど、約400社に利用されています。

書籍の購買データを組み合わせることで、次のような問いを分析できます。
・生活者の関心が高まっているテーマは何か
・どの年代・性別が、そのテーマに関心を持っているか
・一時的な話題か、継続的な関心か
・同じ読者が関心を持っている別のテーマは何か
・番組や広告、記事企画と親和性の高い本や著者は誰か
・映像化、商品化の候補となる作品は何か
・発売後も継続して支持されている本は何か
・話題化する前から伸びている本やテーマは何か
CANTERAは、出版市場の販売分析だけでなく、広告、番組、商品、コンテンツなどの企画において、生活者の関心や時代の変化を捉えるためにも活用できます。
ランキング順位だけでなく、誰が購入し、何と一緒に買い、その関心がどの程度続いているかを見ることで、次の企画につながる生活者の兆しが見えてきます。

よくある質問

Q.2017年から2026年にかけて、書籍の売れ方はどのように変化しましたか?
A.2017年は、社会的に話題となった本がジャンルを越えて広く読まれました。
2022年には、お金、健康、老後、コミュニケーションなど、生活上の課題に答える本が支持されています。
2026年には、国内文庫・国内小説に加え、学参、資格、語学、習慣に関する本が上位に入り、「何を読みたいか」「読んだ後にどうなりたいか」がランキングに明確に表れています。

Q.2026年の書籍市場には、どのような特徴がありますか?
A.国内文庫・国内小説と、高校学参・資格・語学書が同時に存在感を高めたことです。
国内文庫・国内小説では、本屋大賞、映像化、著名作家への再注目が購買のきっかけになりました。高校学参では、月平均売上数が2022年から約42%増加しています。

Q.ライトノベルス文庫の構成比はどのように変化しましたか?
A.ランキング上位3,000点におけるライトノベルス文庫の売上数構成比は、2017年の8.3%から、2022年には3.2%、2026年には1.7%となりました。
ランキング入り点数も2017年の275点から2022年には109点へ減少し、ジャンル内では上位作品への売上集中が強まっています。

Q.学参・資格・語学書は、構成比が上がっただけですか?
A.構成比だけでなく、実際の販売にも変化が見られます。
高校学参と英検・TOEICを合わせた月平均売上数は、2022年から2026年に約16%増加しました。特に高校学参は約42%増加しています。

Q.書籍が「目的で選ばれる」とは、どういうことですか?
A.話題性や知名度だけでなく、物語を読みたい、悩みを解決したい、試験に合格したい、英語のスコアを上げたい、習慣を変えたいなど、読者自身の目的に応じて本が選ばれることです。
2026年には、こうした購入目的がランキングの顔ぶれに明確に表れました。

Q.書籍の購買データから、生活者の関心を把握できますか?
A.ジャンル別の売上推移、購入者の性別・年齢、併買作品などを組み合わせることで、生活者が関心を持っているテーマを分析できます。
例えば、お金に関する本の購入者が、キャリア、教育、住宅、老後のどの分野にも関心を持っているかを、併買作品から確認できます。

Q.書籍データは広告企画にどのように活用できますか?
A.生活者の関心が高まっているテーマと、そのテーマを支持する性別・年代を把握することで、広告キャンペーン、オウンドメディア、タイアップ、イベントなどの企画に活用できます。
検索数やSNS上の話題量だけでなく、実際に購入されたデータとして確認できる点が特徴です。

Q.テレビ番組や動画コンテンツの企画にも活用できますか?
A.情報番組や教養番組の特集テーマ、出演候補となる著者・専門家、映像化する原作候補の調査に活用できます。
販売推移を見ることで、一時的な話題だけでなく、継続して生活者から関心を集めているテーマを確認できます。

Q.同じテーマに関心を持つ読者の特徴は分かりますか?
A.性別・1歳刻みの年齢構成と、併買上位500作品を確認できます。
同じテーマの本でも、購入者の年代や一緒に買われる本を比較することで、読者が抱えている課題や、関連する関心をより具体的に捉えられます。

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