「鬼滅の刃」購買データから見るアニメとマンガの相関性
2025年公開の「劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来」が、第49回日本アカデミー賞 優秀アニメーション作品賞にノミネートされました。
また2026年3月現在、同作品の劇場版「『鬼滅の刃』無限列車編」「『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来」が日本歴代興行収入ランキングで1位・2位を獲得し、日本を代表するマンガ・アニメのひとつとなりました。
では、アニメーションの展開は原作マンガの売上にどのような影響を与えたのでしょうか。
CANTERAの書店購買データをもとに「鬼滅の刃」吾峠呼世晴(集英社)の販売動向を分析し、アニメ展開と原作マンガの売上の関係性を読み解いてみます。
原作の売上推移
(CANTERA調べ)「鬼滅の刃」1巻の売上推移をグラフを見ると、最初の大きな変化が現れたのは、2019年のテレビアニメ第1期「竈門炭治郎 立志編」の放送期間です。
この時期から売上は徐々に上昇し、アニメの放送が進むにつれて、原作マンガの購入者も増えていきます。
アニメ化が作品の認知を大きく広げるきっかけになったと考えられます。
また、当時の社会状況の後押しもあったかと思います。
2020年前後は、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により外出自粛が呼びかけられ、いわゆる「ステイホーム」の生活が広がった時期でもあります。
自宅で過ごす時間が増える中、家庭内で楽しめる娯楽としてマンガやアニメへの関心が高まったことで、本作「鬼滅の刃」に新たに触れ、原作マンガを手に取った人も少なくなかったのではないでしょうか。
その後、2020年公開の劇場版「無限列車編」のタイミングで、再び山を形成します。映画の公開を皮切りに、原作マンガの売上が大きく伸びていることが確認できます。
さらに「遊郭編」「刀鍛冶の里編」「柱稽古編」といったテレビアニメシリーズが続き、さらに劇場版も公開されました。
売上推移を見ると、これらのタイミングでも売上の小さな上昇が確認できます。
ただし、その規模は「無限列車編」公開時のピークと比較すると限定的。
これは、すでに多くの読者が原作を購入しているため、新規読者の増加よりも既存ファンの再読・再購入といった動きが中心になっているためだと思われます。
特定の巻ではなく「シリーズ全体」が売れる
(CANTERA調べ)社会現象にまでなった劇場版「無限列車編」は、原作マンガにおいては7巻〜8巻に収録されているエピソードです。
この場合、映画のエピソードが収録されている巻数は特に大きく伸びるのではないかと考えました。
しかし実際に7巻の売上推移データを見ると、実は1巻とほぼ同じタイミングで売上のピークが発生していることがわかりました。
つまり「特定の巻だけが売れる」「映像化された巻だけが売れる」という動きではなく、シリーズ全体が同時に売れている状況。
アニメや映画をきっかけに作品に興味を持った人が、1巻から読み始め、そのままシリーズを一気に読むという購買行動が発生しているようです。
読者層は若年中心から幅広い世代へ
(CANTERA調べ)購入者の年齢構成を「アニメ化前」「アニメ化後」「劇場第一作目公開後」の3つの期間を比較しました。
アニメ化前の読者層は、20代前半をピークとする若い読者層が中心。
年齢が上がるにつれて購入者数は徐々に減少しており、少年マンガらしい読者構成が見られます。
アニメ化後も、最も多い層は20代前半である点は変わりませんが、30代後半の読者層が増加していることが確認できます。
特に女性読者の割合が上昇しており、読者層が徐々に広がっていることが分かります。
劇場版公開後はさらに大きく変化。30代前半〜40代後半の読者層が大きく増加しました。
「無限列車編」は社会現象とも言える大ヒットとなり、普段はマンガやアニメに触れる機会が少ない層にも作品が届いた可能性があります。
その結果、原作マンガに興味を持ち、新たに読み始めた読者が増えたと考えられます。
☆☆☆コラムで活用したデータをいつでもご自身で簡単に抽出できる!☆☆☆
・CANTERAは、国内最大級の全国の書店でのコミック、小説、書籍、雑誌等の出版POSデータ分析ツール。実売数を含む実績をデイリー更新で閲覧ができます。ランキング作成も可能です。会員数1.5億人超のVポイントのデータを活用して読者の購買層・購買属性や併買情報もわかります。感覚ではなく、数字のデータで企画ができるので、キャンペーンの効果測定、比較分析含めてエビデンスデータとして活用いただけます。
・AND ONEは、CANTERAより更に深堀りした読者像(ペルソナ)の顧客属性分析ツール。特定ジャンルと比較をすることもできます。アニメIP探し等のお困りごとを解決に導きます。
いいね

