2025年、コミック市場を動かした“1巻”たち――その顔ぶれを振り返る
今年も数え切れないほどの新作が書店を賑わせてくれましたが、読者の心を最初に掴む「第1巻」。物語の扉を開く1巻が、どれだけ多くの人に選ばれたのか―それは作品の未来を占う重要な指標にもなります。2025年の年間ランキングコミック編では、今年発売になったコミックシーンを象徴する“1巻”のトップランナーたちを、ランキング形式でとりあげます。(販売数集計期間:2025年1月1日~12月22日)
2025年に発売にされた1巻のみの年間ランキングを発表
注目の第1位に輝いたのは、なろうコミカライズの話題作「ベル・プペーのスパダリ婚約〜「好みじゃない」と言われた人形姫、我慢をやめたら皇子がデレデレになった。実に愛い!〜」セレン(スクウェア・エニックス)。
綺麗な画も評判な最強スパダリ令嬢の、”逆・溺愛”ラブストーリー!コミック発売以降、ラノベも爆発的に売れました。

(「ベル・プペーのスパダリ婚約〜」朝霧あさき(スクウェア・エニックス)ライトノベルス文芸書 売上推移 CANTERA調べ)
続く第2位には、原作:西修、作画:宇佐崎しろ「週刊少年ジャンプ」にて連載中の「魔男のイチ」(集英社)がランクイン。
さらに第3位には、「週刊ヤングマガジン」連載中の「ザ・ファブル The third secret」南勝久(講談社)。
前回、弊社HPのコラム記事でも取り上げさせていただいた「本なら売るほど」児島青(KADOKAWA)は4位、「昴と彗星」しげの秀一(講談社)は11月発売でわずか2か月の販売期間にも関わらず第6位にランクインと大健闘をみせました。
以下、上位30位までのランキングです。異世界ファンタジーから青春群像劇まで、多彩な作品が名を連ねています。

(2025年 年間ランキング コミック1巻編 ランキング作成 CANTERA調べ)
世代ごとに選ばれた“推しの1冊”とは?
2025年のコミック市場を振り返ると、世代ごとに異なる「熱狂」が浮かび上がります。

(2025年 年間ランキング コミック1巻編 世代別ランキング作成 CANTERA調べ)
全体ランキング1位に輝いた「ベル・プペーのスパダリ婚約」は、全年代に支持される圧倒的な存在感を示しました。
一方、20代では「魔男のイチ」がトップに立ち、若い世代から強い支持を獲得。3位の「ザ・ファブル」は50代で1位を獲得し、上の世代に根強い人気を誇ります。
また、2000年前後に「頭文字D」を愛読した50・60代には「昴と彗星」が絶大な人気を集め、同じ走り屋系統の「首都高SPL ゼロ」楠みちはる(講談社)は全体では18位ながら、この世代では上位に位置づけているところも面白いところです。
30~40代では、「金田一少年の事件簿」や「BECK」世代に支えられた「金田一パパの事件簿」さとうふみや、「THE BAND」ハロルド作石(いずれも講談社)。スクウェア・エニックスの「片田舎のおっさん」は、上の世代では10位以内にランクイン。
さらに、10~20代では他の世代では見られない少女コミックのランクインが特徴的。こうした世代ごとの嗜好の違いから、2025年のコミックシーンの多様性が鮮明に浮かび上がります。
気になる作品があった方は、ぜひお手にとってみてください。2026年も、まだ見ぬ名作に期待しながら、どんなタイトルが飛び出すのか――ページをめくる手が止まらない。また、そんな一年になりますように..。
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