Netflix『イクサガミ』のヒットが原作に与えた影響

2025年11月13日からNetflixにて公開されたエンターテイメント時代劇「イクサガミ」。
配信直後から世界中で大ヒットし、Netflix週間グローバルTOP10(非英語シリーズ)で1位を獲得するなど、日本だけでなく世界中で高い人気を集めています。
今回は、「イクサガミ」の人気が関連する書籍にどのような影響を及ぼしたのか、書籍の実購買分析システム「CANTERA」を用いて紐解いていきます。

「イクサガミ」とは

「イクサガミ」(講談社)は今村翔吾による日本の小説シリーズ。明治時代を舞台に、侍たちが多額の賞金を目当てに「蠱毒」と呼ばれるゲームに参加し、生き残りをかけて戦う物語です。シリーズは「天」「地」「人」「神」の四部作となっており、シリーズ第一作である「天」が発売されたのが2022年2月15日でした。その後、2023年5月16日に「地」、2024年11月15日に「人」が発売となり、2025年8月8日に第四作目の「神」が発売となり完結しました。一方の映像化が発表されたのは2024年。そして2025年11月13日にNetflixにて配信が開始となりました。しかし「イクサガミ」の映像化に関するインタビューをまとめた記事によれば、映像化に至る構想自体は第一作の発売時点から進んでいたようです。

Netflixでの配信による書籍への影響

Netflixでの配信が始まると、作品はすぐに大きな注目を集めました。
Googleトレンドを確認してみると、配信開始直後から「人気度」が大きく上昇。検索ボリュームについても配信前と比べて大きく増えており、話題が一気に広がったことがわかります。
この傾向は書籍の売上実績にもみられます。
第一作目である「天」の販売数について、作品が発売された2022年2月15日からの推移を調査。すると、配信が開始された直後の売上数の伸びが非常に大きく、販売直後を除けば、売上の山がもっとも高くなっていることがわかりました。
また、配信開始の前後30日で日別売上の平均値を比較したところ、約4.5倍にも跳ね上がっていました。

CANTERA分析画面③ (「イクサガミ 天」売上推移 CANTERA調べ)

「天」を購入した人の併買状況を見てみると、シリーズ全4作すべてを購入した人が、配信開始前後で10%以上増えていることがわかります。また「天」を購入した人の約47%もの人が、続編である「地」も合わせて購入しているという事実にも注目です。

CANTERA分析画面③ (「イクサガミ 天」併買分析 CANTERA調べ)

購入したユーザー層に変化

「イクサガミ」がNetflixで配信されたことで、新しいユーザー層を開拓することはできたのでしょうか。
配信の前と後で、「イクサガミ 天」を購入したユーザー層に違いがあるかを比較したのが以下の図です。青色が「配信前」で、赤色が「配信後」のユーザー層になっています。

CANTERA分析画面②(「イクサガミ 天」購入クラスタ分析 赤棒:配信後 青折線:配信前 CANTERA調べ)

青色のグラフでは、男女ともに50代がピークですが、50歳以上のユーザーが全体のなかでも大きな割合を占めています。一方の赤色のグラフ、つまりNetflixでの配信をキッカケに「イクサガミ」に興味を持った人は、40代後半をピークにしつつ、30代〜40代の若い世代の割合が多くなっています。つまり、原作ではリーチできていかなった年齢層に対して、映像化を通して認知を拡大し、新たな販路を拡大できたといえそうです。

シーズン2によるさらなる販路の拡大が期待される

今回Netflixで配信されたのは全6話。しかし物語は完結しておらず、まだまだ活躍していないキャラクターも大勢いますし、謎や伏線も多く残されています。
そんな中、2025年12月19日にシーズン2の制作決定が発表されました。
映像化によって原作が若年層に広がっていた実績を鑑みると、シーズン2の公開時にはさらに販路が広がっていきそうです。

☆☆☆コラムで活用したデータをいつでもご自身で簡単に抽出できる!☆☆☆
・CANTERAは、国内最大級の全国の書店でのコミック、小説、雑誌等の実績をデイリー更新で閲覧ができます。ランキング作成も可能です。会員数1.5億人超のVポイントのデータを活用して読者の購買層や併買情報もわかります。感覚ではなく、数字のデータで企画ができるので、エビデンスデータとして説得力が違います。
・AND ONEは、CANTERAより更に深堀りした読者像(ペルソナ)の分析ができます。アニメIP探し等のお困りごとを解決に導きます。

お気軽に資料請求・お問い合わせ下さい。

お気軽に資料請求
お問い合わせ下さい。

関連記事一覧